お笑い界全体に大きな影響を与えたのが、オール巨人のM-1審査員勇退でした。2007年の初就任以来、通算7期にわたり若手漫才師の最高峰コンテスト「M-1グランプリ」の審査員を務め上げ、2021年大会を最後に勇退を表明しました。
巨人の審査基準は、声の通り、間の取り方、舞台上の立ち振る舞い、そして漫才としての基礎技術を極めて厳密に評価するものでした。時に辛口と捉えられる採点もありましたが、その根底にあったのは「劇場で何十年も飯を食える本物の漫才師を育てたい」という熱い愛情でした。勇退に際して巨人は、「漫才のトレンドが変化するなか、自らの役割は果たした。次は現役の若い世代が審査席に座るべきだ」と語り、後進へ道を譲る決断を下しました。
また、オール巨人の弟子に対する指導方針も同様に厳格でした。かつて弟子入りしていた有吉弘行氏が後に大ブレイクした際にも、巨人は温かいエールを送り続け、元弟子で弁護士に転身した角田龍平氏とも良好な関係を保っています。「礼儀と挨拶ができない人間に舞台で人を笑わせる資格はない」という教えは、現在の芸人界においても重宝される普遍のルールとなっています。