エビを加熱した際に立ち込める独特の生臭さは、主に鮮度低下に伴って生成される「トリメチルアミン」などのアミン類や、表面に付着した汚れ・脂質の酸化が原因です。さらに、背ワタ(消化管)に残った砂や老廃物、尾の先端にある三角状の袋(尾先)に溜まった汚水が加熱時に気化し、エビ本来の上品な甘みをマスキングしてしまいます。
調理専門家や現場のシェフへの取材でも、「家庭料理でエビが台無しになる原因の8割以上は下処理の不足にある」と口を揃えます。エビは浸透圧の影響を極めて受けやすい食材です。真水で長時間洗うと細胞が破壊されて旨味が流出し、逆に水気を吸いすぎて水っぽくなってしまいます。表面の汚れを物理的・化学的に吸着しつつ、浸透圧を保った状態で洗浄することが、プロレベルの仕上がりに導く大前提です。