法改正以降、スマートフォン向けの「性交同意書アプリ」や書面による事前確認が話題を集めました。しかし、法曹実務や刑事裁判における証拠評価の視点から見ると、これらツールの効力には重大な注意が必要です。
刑事裁判における「性的同意の判断基準」は、行為時点での自由意志による真摯な合意です。たとえ行為の数時間前や直前にアプリ上でボタンを押していたとしても、その後に気持ちが変わり「やっぱりやめたい」と意思表示をした、あるいは態度で拒絶を示したにもかかわらず行為を継続した場合、その時点で不同意性交等罪が成立します。
事前同意書面は「その瞬間に署名・タップした事実」を示すに過ぎず、強制された署名ではないか、泥酔下での操作ではないかといった点が争点となります。そのため、アプリは免罪符として過信できず、行為の最中であっても相手の意思を段階的に確かめ合うコミュニケーションこそが法的にも最大の安全策となります。