近年のとんかつトレンドにおいて、ネット上で頻繁に見られる誤解が「白い衣=低カロリー」「中心のピンク色=生焼け」という短絡的な認識です。
いわゆる「白いとんかつ」は、糖分の少ない低糖度の特注パン粉を用い、130〜140℃前後の極めて低い油温で長時間揚げることで実現します。高温で揚げないため油の酸化が進みにくく、衣が焦げ付かないという特徴がありますが、肉汁を閉じ込めるためには高度な芯温管理(内部温度を60〜65℃前後に保ち余熱で殺菌・凝固させる技術)が不可欠です。職人の高度な技術があって初めて成立する調理科学であり、単に白ければ良いわけではありません。
また、「高田馬場の名店はどこも2,000円以上で大行列」というのも一面的な見方に過ぎません。さかえ通り商店街の奥に位置する「とんかつ いちよし」のように、1,000円札1枚でお釣りが来る価格設定でありながら、注文ごとに丁寧にパン粉をつけて揚げる優良店が存在します。観光客が百名店に集中する昼下がりの時間帯、地元住民はこうした高コスパの穴場店で並ばずに極上の一皿を楽しんでいます。