鼻の中にワセリンは危険?耳鼻科医が警告するリスクと正しい塗り方

鼻の中にワセリンは危険?耳鼻科医が警告するリスクと正しい塗り方

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ネット検索で「鼻の中 ワセリン 危険性」と入力すると、必ずと言っていいほど浮上するのが「呼吸器系への深刻なダメージ」を懸念する声です。単なる保湿剤であるはずのワセリンが、なぜ危険視されるに至ったのでしょうか。

呼吸器内科医および耳鼻咽喉科医への取材によると、医学界で最も警戒されているのはリポイド肺炎(外因性脂質性肺炎)の発症リスクです。ワセリンは石油を高度に精製した炭化水素(鉱物油)の混合物であり、人間の体内で自然に分解・吸収されることはありません。鼻の奥深くに一度に大量のワセリンを塗り込んだり、毎日のように過剰塗布を長期間続けたりすると、体温で液状化した微量の油成分が無自覚のうちに気道を通って肺胞へと垂れ落ち、慢性的な異物反応や炎症を引き起こす恐れがあります。

日本国内の症例報告でも、鼻腔内にオイル系製剤や軟膏を過剰に塗布し続けた高齢者がリポイド肺炎を発症したケースが確認されています。通常の肌に塗る分には極めて安全性の高いワセリンですが、「粘膜の奥へ押し込む」「吸引してしまうリスクがある」という特殊な環境下においては、決して無批判に常用してよいものではありません。

さらに、鼻粘膜にびっしりと生えている「線毛(せんもう)」の働きを阻害してしまうリスクも見逃せません。線毛は異物や細菌、ウイルスを体外へ押し出すベルトコンベアの役割を担っていますが、粘度の高いワセリンを広範囲にベッタリと塗ると、この自浄作用が低下し、かえって感染症を招きやすくなるという皮肉な結果につながることも指摘されています。

佐藤 大輔
著者

佐藤 大輔

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