「昨日までは200mlをすんなり飲み干していたのに、今日は100mlで乳首を押し出して泣いてしまう」――。生後4ヶ月を迎えた保護者から最も多く寄せられる相談が、この突発的な授乳トラブルです。結論から言えば、赤ちゃんの機嫌が良く、おしっこが1日6回以上しっかりと出ていれば、ミルクの量が一時的に減っても直ちに脱水や栄養失調に陥るリスクは極めて低いと言えます。
生後4ヶ月頃の赤ちゃんがミルクを急に飲まなくなる最大の要因は、脳内の「満腹中枢」が完成に近づくことにあります。新生児期から生後3ヶ月頃までの赤ちゃんは、口に入ったものを無意識に吸い続ける「吸啜(きゅうてつ)反射」に頼って栄養を摂取していました。つまり、お腹がいっぱいであっても反射的に飲んでしまっていたのです。しかし生後4ヶ月を迎えると吸啜反射が消失し、自分の意志で「満腹だからもういらない」「今は喉が渇いていない」と哺乳をストップできるようになります。
さらに、視覚や聴覚の急激な発達も大きく影響しています。視力が向上して部屋の様子や家族の動きが見えるようになり、周囲の音にも敏感に反応するため、授乳中であっても「周りの様子が気になって飲むどころではない」という状態に陥ります。これが、多くの親を悩ませる「遊び飲み」の正体です。飲まないのは決して母乳やミルクが嫌いになったわけでも、保護者の与え方が悪いわけでもなく、好奇心が芽生えた健全な成長のステップなのです。