工藤静香の母・武子さんは、長年にわたり自身の美容室を切り盛りしてきたプロの美容師だった。昭和から平成にかけて、目まぐるしいスピードでスターダムを駆け上がった娘のスタイリングや髪型にも、時には母として、そして美容のプロとしての温かい視線が注がれていた。
手先が器用で仕事に対してどこまでも妥協しない職人気質。静香が見せる個性的で洗練されたファッションセンスや絵画、オリジナルブランドのプロデュース能力は、まさにこの母の背中を見て育ったからこそ開花したものだ。忙しい仕事の合間を縫って作ってくれた手料理や、暮らしを豊かにする日常の工夫。華やかな芸能界の裏側で、静香の足元を常に泥臭く、しかし温かく支え続けたのがこの母だった。