客観的な確率は均等であっても、「自分だけ悪いことばかりが連続して起きている」と感じる局面は少なくありません。この現象の裏には、進化心理学および認知行動療法で指摘される脳の特性が深く関わっています。
人間には太古の生存戦略として、快楽よりも危険や損失に敏感に反応する「ネガティビティ・バイアス」が備わっています。心理学の臨床データによれば、人間はネガティブな出来事に対してポジティブな出来事の約3〜5倍の感情エネルギーを消費し、記憶に強く刻み込みます。そのため、実際には良い出来事と悪い出来事が同数起きていても、主観的な記憶の残高は「不運が大半を占めている」ように歪んでしまうのです。
さらに、「心理学における認知の歪み」の代表格である「破滅的思考(ひとつのミスからすべてが終わったと思い込む)」や「選択的抽出(悪い兆候だけにスポットライトを当てて確証バイアスを強化する)」が作動すると、不運が続く理由を自ら作り出し、さらなる判断ミスを招く悪循環に陥ります。