劇中で終始「トンボ」の愛称で呼ばれる彼の本名は、コポリという。原作である角野栄子の児童文学では、トンボのような大きな丸メガネをかけていることから街の仲間たちにそう呼ばれ始めた経緯が丁寧に描写されている。彼を突き動かしているのは、純粋にして狂気じみた「空への憧れ」だ。
宮崎駿監督は、映画版において彼を「人力飛行機同好会」の熱狂的なメンバーとして再構築した。魔法という天賦の才で難なく浮遊するキキに対し、トンボは自らの筋力と粗末な機械仕掛けだけで大空を目指す。この強烈な対比こそが、物語に豊かな陰影と青春特有の痛烈なリアリティを与えている。