「紅葉の名所」と呼ばれる社寺は全国に数あれど、普門寺が独自の存在感を放ち続ける背景には、約1300年におよぶ重厚な普門寺歴史があります。寺伝によれば、神亀4年(727年)に行基菩薩によって開創され、平安時代初期には弘法大師空海が東国巡錫の折に護摩修法を行った霊場と伝わります。中世には源頼朝や平重盛、さらに江戸時代には徳川家康から寺領を安堵されるなど、時の権力者たちからの篤い庇護を受けてきました。
寺関係者への取材や歴史資料によると、普門寺の伽藍はかつて山麓から尾根一帯にかけて数多くの坊舎が立ち並ぶ巨大山岳寺院でした。中世の戦乱や山火事によって多くの堂宇が失われたものの、歴代の住職と熱心な檀信徒の手によって奇跡的に守り抜かれたのが、東三河屈指の仏教美術遺産です。2026年現在、各地の寺院が過疎や維持管理の難題に直面するなか、普門寺は地域の歴史遺産をオープンにしつつ、文化財保護と現代的な情報発信を高次元で両立させたモデルケースとして再評価されています。