消費者の財布に直結する大きな話題といえば、やはり看板メニューの価格変動です。かつて300円台前半で購入できた時代を知るユーザーからは、価格改定に対してため息が漏れることも少なくありません。しかし、ほっともっとの値上げの経緯を客観的に辿ると、中食産業が直面する構造的な課題が浮き彫りになります。
株式会社プレナスの決算発表資料やプレスリリースによると、2022年から2025年にかけて、輸入食用油や包装資材の急騰、白身魚フライの主原料であるスケソウダラ等の水産資源価格の上昇、さらには全国的なコメ価格の高騰と物流人件費の上昇が立て続けに発生しました。同社は自社精米センターの効率化やサプライチェーンの再構築でコスト吸収を図ったものの、企業努力のみで吸収できる限界を超えたことから段階的な改定を実施してきました。
注目すべきは、ほっともっとののり弁当の価格改定が単なる「便乗値上げ」では決してない点です。同社は値上げを行う際、ちくわ天を約1.5倍に大型化したり、白身魚フライの衣の配合を見直してサクサク感を高めたり、だし醤油の風味を向上させるなど、明確な「実質的クオリティアップ」を同時に打ち出しました。その結果、客離れを起こすことなく、依然として業界最高峰のコストパフォーマンスを堅持しています。