山口一郎と星野源を巡る言説の中で、最も是正されるべき誤解は「連絡を取っていない=疎遠・不仲」という短絡的な図式です。現代のSNS社会では、公の場での相互フォローや頻繁なリプライのやり取りが「仲の良さ」の証明として扱われがちです。しかし、昭和・平成から過酷なエンターテインメント業界を生き抜いてきたクリエイターにとって、そうした表層的な結びつきは本質ではありません。
加藤浩次が配信で放った「星野源のあとだからよかった」という言葉の真意も、まさにここにあります。加藤自身、長年深夜ラジオや生放送で時代を作ってきた表現者です。星野源が長年耕し、極めて知性的で熱量の高いリスナーが集う火曜深夜の枠だからこそ、うつ病から復帰して新たな表現を模索する山口一郎の受け皿としてこれ以上ない舞台である――そうした業界の文脈を踏まえた激励であったことが、配信全体のトーンから確認できます。
また、星野源が『おげんさんといっしょ』をはじめとするテレビ番組で追求してきた音楽への偏執的な愛情と、山口一郎がサカナクションとして音響や配信技術に注ぎ込んできた熱量は、ベクトルこそ違えど同じ方向を向いています。互いに「あいつがまだ頑張っているから、自分も妥協できない」という強烈なライバル心を抱きつつ、私生活では干渉しない。これこそが、ネットの噂が捉えきれていないふたりの真の距離感です。