国際オリンピック委員会(IOC)のメガビジネス戦略は、放映権の価値を極限まで高める方向で進化を続けてきた。バッハ会長が主導した「オリンピック・アジェンダ」以降、伝統的なTV局への権利売却にとどまらず、デジタルプラットフォームとの提携が強力に推進されている。放映権収入の多くを世界各国の競技団体や選手支援に充てると謳う一方で、既存の放送事業者に対しては極めてシビアな価格交渉が突きつけられてきた。
北米市場ではすでに大手メディアが巨大な複数年契約を締結し、自社の動画配信サービスで多数の加入者を獲得する戦略を展開中だ。このようなグローバルなデジタルシフトは、日本国内のメディア構造にも直結する。かつての「国民全員がテレビの前で同時に観る」という単一モデルから、「個々のユーザーがデジタル端末でオンデマンド選択する」多層的な視聴環境への転換が加速している。