岡田准一の20代における最大のターニングポイントは、ドラマおよび映画『SP』シリーズとの出会いだろう。警護課の要人警護官(SP)を演じるにあたり、彼は生半可なスタントや吹き替えを拒否した。カリやジークンドー、修斗といった本格的な格闘術を数年間にわたって修得し、インストラクターの免許を取得するまでに至ったのだ。
映画『SP 野望篇』の撮影現場では、CGやワイヤーアクションに頼らないリアリティ溢れる近接格闘が展開された。骨がぶつかり合うような生々しいアクション、一瞬の隙も許さない鋭い眼光。当時の撮影現場では、過酷な殺陣の連続にスタントマンたちさえも疲弊する中、岡田自身がアクションプランを提案し、現場を引っ張っていたという。
日本の本格アクション映画における「リアリズム」の基準を引き上げたのは、間違いなく20代後半の彼の偏執的なまでのストイックさだった。スタントマン任せにしない身体表現へのこだわりは、後の日本映画界に巨大な衝撃を与えた。