報道機関の表記ルールや法的根拠、使い分け事情に目を向けると、メディア特有の事情が見えてくる。新聞社や通信社、そしてNHKなどの放送局には、それぞれ独自の用語表記基準が存在する。新聞の見出しでは文字数の制限が極めて厳しいため、文字数が少なく視認性の高い「首相」という二文字が圧倒的に重用されるのだ。
対照的に、テレビのニュース番組の音声ニュースやアナウンサーの読み上げでは、「総理」という言葉が選ばれるケースが多い。耳で聴いた際の音の通りやすさや、視聴者への親しみやすさを重視しているためだ。紙面の見出しと音声ニュースで選ばれる言葉が変化する背景には、情報伝達手段ごとの合理的な工夫が潜んでいる。