演出を手掛けたのは、重厚な人間ドラマと巧みなストーリーテリングに定評のあるイム・ジニスン監督だ。彼は一歩間違えればドロドロの愛憎劇になりかねない美容業界の裏側を、極上の犯罪コメディへと仕立て上げた。脚本の練り込みも見事で、テンポよく展開する騙し合いのプロセスに思わず膝を打つ。
犯罪劇としてのスリルを保ちつつ、根底には人間味あふれる可笑しさが漂う。イム監督の鋭い観察眼は、登場人物たちの浅ましさと愛おしさを同時に炙り出し、物語の細部にまで活気を与えている。緊迫したサスペンスと脱力感あふれる笑いの配分が絶妙であり、ラストまで一気に駆け抜ける駆動力を生み出している。