インターネット上の掲示板や知恵袋などでは、「プリテンダー=悪意を持って人を騙す犯罪者・嘘つき」という一面的な解釈が散見されます。しかし、心理学や社会学のフレームワークを導入すると、この言葉が持つまったく異なる側面が浮かび上がってきます。
心理学において、人間が社会生活を営む上で身につける仮面を「ペルソナ(Persona)」と呼びます。他者と摩擦を起こさず、集団内で円滑な関係を維持するために、私たちは誰しも多かれ少なかれ「本当の自分とは異なるキャラクター」のふり(Pretend)をしています。
また、恋愛関係において片思いの苦痛や拒絶の恐怖に直面した際、心を守るために発動する「防衛機制(心理的防衛)」としてもプリテンダーの心理は説明できます。「自分は本気で恋をしていなかった」「最初から友達のふりをしていただけだ」と自らに言い聞かせることで、傷つくリスクを最小限に抑えようとする認知の働きです。
つまり、プリテンダーとは単なる悪意の象徴ではなく、「傷つきたくない人間が身にまとう、あまりにも脆い心の防壁」であるという点が、多くの表現物で愛される本質的な理由と言えます。