映画やアニメーションのステレオタイプによって広まったイメージの中には、設定資料や著者のインタビューによって覆されたものが数多く存在します。知っておくべきハリーポッター寮の裏設定を検証しましょう。
最大の誤謬は「スリザリン=悪人養成所」という言説です。確かにヴォルデモートをはじめとする闇の魔法使いを輩出しましたが、アーサー王伝説の宮廷魔術師であり魔法界の至宝とされる「偉大なるマーリン」もスリザリンの出身者です。さらに、命がけで二重スパイを全うしたセブルス・スネイプや、ヴォルデモートの分霊箱を奪還して散ったレギュラス・ブラックの存在が証明するように、スリザリンの本質は悪徳ではなく「自らの信念のために命を削る執念」にあります。
また、「ハッフルパフ=落ちこぼれの受け皿」という風評も完全な事実無根です。公式設定において、闇の魔法使いの輩出数が全寮のなかで最も少ないのがハッフルパフです。さらに衝撃的な史実として、「ホグワーツの戦い」において校長マクゴナガルから残留か避難かの選択を委ねられた際、グリフィンドールに次いで最も多くの生徒が校内に踏みとどまり、決死の覚悟で戦ったのはハッフルパフでした。虚栄心のためではなく、理不尽に虐げられる仲間を見捨てないという純粋な倫理観が彼らを動かしたのです。
一方、清廉な知性派に見えるレイブンクローにも暗い影があります。知的好奇心が度を越して倫理を置き去りにする傾向があり、かつてロウェナの娘ヘレナ・レイブンクローは母の知恵を奪おうと髪飾りを盗み出しました。変人を許容する懐の深さを持つ反面、ルーナ・ラブグッドが靴を隠されるといった陰湿な孤立が生じるドライな個人主義社会でもあります。