千葉県木更津市で生まれた中尾彬は、高校卒業後に演劇の道を志し、劇団雲の研究生としてキャリアをスタートさせた。芥川比呂志や福田恆存といった演劇界の巨頭が率いる劇団で鍛え上げられた演技の基礎は、彼の骨格を形成した。しかし、彼の圧倒的なヴィジュアルを映画界が放っておくはずもなかった。ほどなくして日活に招かれた彼は、映画『月曜日のユカ』(1964年)などで鮮烈な映画デビューを果たす。
スクリーンに現れた若き彼のアクションとクールな眼光は、まさに新時代のスター誕生を告げるものだった。日活の黄金期を支える若手二枚目スターとして、甘いルックスでありながらもどこかアウトローな陰を併せ持つ独自の立ち位置を確立。写真館や映画雑誌のグラビアを飾るたび、女性ファンからの悲鳴に近い歓声が上がったという。