アンテナ自作に関するネット情報には、一部で物理的根拠を欠いた誤解や盲点が散見されます。無駄な労力を避けるために、以下の3つの落とし穴を把握しておきましょう。
盲点1:「アンテナは長ければ長いほど電波を拾う」という大誤解
最も多い失敗が「適当な電線を部屋中に何十メートルも張り巡らせる」というケースです。アンテナは狙う電波の波長と共振(レゾナンス)して初めて効率よくエネルギーを吸収します。波長と無関係な中途半端な長さのロングワイヤーは、インピーダンスが整合せず反射損失が増大する上、室内中の不要な電磁ノイズを余計に拾う巨大なアンテナと化してしまいます。必ず計算値に沿った寸法で製作してください。
盲点2:送信所の「偏波面(垂直偏波・水平偏波)」の無視
FM放送の電波には、大地に対して水平に振動する「水平偏波」と、垂直に振動する「垂直偏波」が存在します。多くの基幹送信所(東京タワーや各県の親局など)は水平偏波を採用していますが、一部の中継局やワイドFM送信所では垂直偏波が用いられています。送信所の偏波に合わせてアンテナの向き(水平設置か垂直設置か)を合わせないと、理論上約20dB以上(電力比で100分の1)の極端な感度減衰が発生します。受信状態を確認しながらアンテナを90度回転させてみる作業は必須です。
盲点3:市販ブースター(電波増幅器)への安易な依存
「ノイズが多いからブースターを噛ませば直る」と考えるのは危険です。ブースターは「電波」だけでなく「ノイズ」も等しく増幅します。アンテナ本体の受信状態(S/N比)が悪い状態でブースターを入れても、ノイズがさらに耳障りになるだけです。まずは素のアンテナ性能(パッシブ利得)を極限まで高めることが鉄則です。