橋本龍太郎氏の生涯を語る上で欠かせないのが、近代日本政治史を体現する家系図の存在です。名門一族の長男として生まれた境遇は、強烈な責任感と果てしない政治的重圧を彼に課し続けました。
父の橋本龍伍氏は大蔵省の主計局長などを歴任したエリート官僚であり、後に厚生大臣・文部大臣を務めた大物政治家でした。龍伍氏が若くして病に倒れたことを機に、龍太郎氏は慶應義塾大学法学部を卒業後、26歳という異例の若さで衆議院議員に初当選。父の遺志を継ぎ、厚生行政を中心とした社会保障分野で頭角を現すことになります。
異母弟である橋本大二郎氏は、NHKの社会部記者・キャスターとして活躍した後、高知県知事に転身。4期16年にわたり独自の改革派知事として全国的な知名度を誇りました。兄弟で異なる政治的スタンスを取りつつも、互いの実力を深く認め合っていた関係性は広く知られています。
そして龍太郎氏の政治的DNAは、次男である橋本岳氏へと継承されました。岳氏は父の急逝後に地盤(岡山4区)を引き継ぎ、厚生労働副大臣などを歴任。父が得意とした厚生労働行政の政策通としてのポジションを受け継いでいます。一族が背負い続けた「国家の舵取り」という計り知れないストレスが、歴代当主の肉体を蝕んだ一因であることは想像に難くありません。