旧アニメ版およびコミック版において、最も劇的な転換点となったのが「ロンギヌスの槍がなぜ月に刺さったのか」という経緯です。
TVシリーズ第22話において、衛星軌道上から精神攻撃を仕掛ける第15使徒アラエルに対し、通常兵器もエヴァ初号機の攻撃も届かない絶体絶命の事態に陥りました。そこで碇ゲンドウは、ネルフ本部地下のターミナルドグマに眠るリリスの胸から槍を引き抜き、零号機の手によって宇宙空間へ投擲させました。
槍は光の速度に近い推進力でアラエルを殲滅した後、重力を振り切って月面へと突き刺さり、回収不能となりました。この一連の流れには、表向きの「使徒殲滅」とは別に、ゲンドウによる明確な裏の目的が隠されていました。
ゼーレが推進する人類補完計画では、ロンギヌスの槍を用いて初号機とリリスを融合させ、神への回帰を果たす儀式が前提となっていました。しかし、自分自身と妻・ユイとの再会を最優先とするゲンドウにとって、ゼーレの道具である槍は邪魔な存在でした。リリスの胸から槍を抜き去って封印を解きつつ、槍を回収不能な月軌道へ飛ばすことで、ゼーレの計画進行を物理的に妨害したのです。