ネット上で「放送事故」として拡散される映像の多くを精査すると、そこには現実と虚構の危うい乖離が浮かび上がる。生放送アクシデントとしてSNSに投稿された動画の多くは、スロー再生や極端なトリミング、さらには彩度調整によって作為的に作られたものだ。襟元の緩みや胸元の影を過剰に強調し、あたかも深刻な衣装トラブルが起きたかのように見せかける悪質な加工が後を絶たない。
スタイリストが用意した衣装は、事前のリハーサルで激しい動きや前傾姿勢を入念にチェックされている。それでも、フリートーク時の予期せぬ身振りや急な中継対応によって、予期せぬ隙間が生じる瞬間はゼロにはできない。ネット上で数百万再生を叩き出す「決定的瞬間」の9割以上は、日常的な身体の動きを悪意ある切り口で消費しているに過ぎない。