ネット上のレシピで散見される誤解のひとつに、「白だしは色が薄いから塩分も控えめである」という思い込みがあります。これは極めて危険な錯覚です。
白だしは薄口しょうゆをベースに作られているため、一般的な濃口しょうゆよりも塩分濃度が約1.2〜1.3倍高い設計になっています。見た目が透明に近いため「味が薄いのではないか」と過剰に原液を投入してしまうと、塩分過多の鍋に仕上がってしまいます。
また、「途中でポン酢を足して味変する」という行為も注意が必要です。あらかじめタレなし用の黄金比(1:10前後)で作った出汁にポン酢を加えると、塩分と酸味が過飽和状態になり、出汁本来の繊細なだしの香りが完全に破壊されます。味変を行いたい場合は、小皿に取ったスープに「すりごま」「黒胡椒」「柚子胡椒」「刻み大葉」などの薬味を加えるのが、出汁の輪郭を崩さない正しいアプローチです。