競走馬の「ダート適性」は、馬体構造と血統構成に色濃く反映されます。芝馬がスラリとした薄い皮膚と柔軟な関節を持つ「中長距離ランナー」の体型をしているのに対し、ダートで頭角を現す馬は筋骨隆々とした骨太の馬体、硬く立ち気味の繋(つなぎ)、500kgを超える大型馬が多いのが特徴です。砂の強い抵抗を筋肉のパワーでねじ伏せる必要があるためです。
ダート血統の傾向としては、アメリカのダート競馬で培われた強力な血脈が圧倒的なシェアを誇ります。代表的な種牡馬系統と特徴は以下の通りです。
- エーピーインディ(A.P. Indy)系:シニスターミニスターやマジェスティックウォリアーなど。雄大なフットワークで長く良い脚を使う中距離ダートの王道。
- ストームキャット(Storm Cat)系:ヘニーヒューズやドレフォンなど。抜群のテンのスピードとダッシュ力を誇り、短距離からマイル戦を席巻。
- ヴァイスリージェント(Vice Regent)系:クロフネを筆頭に、湿った高速ダートや芝スタートのコースで無類の強さを発揮。
- サンデーサイレンス系(傍流):ゴールドアリュールやその産駒(スマートファルコン、コパノリッキー)のように、パワーを強調した血統が日本の深い砂を克服。
また、ダート短距離(1000m〜1400m)と長距離(1800m〜2100m以上)では求められる資質が全く異なります。短距離戦はゲートが開いた瞬間からゴールまでほぼフルスロットルで駆け抜けるため、純粋な筋肉量とスタートダッシュの天性が要求されます。一方、1800mを超える中長距離戦では、道中で砂を被りながらも冷静に折り合う精神力と、砂の負荷に耐え続ける無尽蔵のスタミナが不可欠となります。芝でスピード負けした馬が「ダートの長距離」に矛先を変えて一変することがあるのは、この要求スタミナの質が芝のそれとは根本的に異なるためです。