『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』で毎話終盤のお約束となっていたメロンの持参。しかし、なぜ「メロン」だったのか。制作陣の秘話によると、高級フルーツの代名詞であるメロンは、贈答用としての圧倒的な存在感と「庶民には手の届かない贅沢品」という象徴的な意味合いを持っていた。神原晶演じる岸部一徳が、恭しい態度で桐箱を開ける瞬間の緊張感と落差が、絶妙な可笑しみを生み出している。
メロンと一緒に差し出される請求書の金額にも知られざる裏側がある。数千万円から時には1億円を超える高額な請求額は、大門未知子が行った高度な手術技術への対価だ。それと同時に、大学病院側が隠蔽しようとした不祥事や手術の難易度を跳ね返した「口止め料」や「組織のプライドの代償」としての意味も込められていた。晶が請求書を出す際に見せる目線や間の取り方は、長年演劇の世界で培われた岸部一徳の演技美学の賜物と言える。