「自宅で死ぬこと」は決して無謀な挑戦ではない。日本緩和医療学会をはじめとする専門機関の知見によれば、適切な疼痛管理と多職種連携(医師、訪問看護師、ケアマネジャーなど)が整っていれば、肉体的な苦痛の大部分はコントロール可能であるとされている。
後悔しない最期を迎えるために不可欠なのは、元気なうちからの「アドバンス・ケア・プランニング(ACP/人生会議)」だ。人工呼吸器の装着を望むか、胃ろうを造設するか、痛みをどこまで抑えたいか。本人の意志が明確であればあるほど、残された家族は過酷な決断の重圧から解放される。苦しみのない旅立ちは、医学的な処置だけでなく、事前の対話と心の準備によってこそ実現する。