労災事故の治療において最も多くのトラブルが発生するのが、病院(整形外科)と整骨院の併用受診です。「日中は会社近くの整形外科で薬をもらい、夜間は自宅近くの整骨院で手技療法を受けたい」と考える労働者は多いものの、労災制度上、整骨院での施術は医師による医療の「補助的役割」として位置づけられています。
整骨院で継続して労災施術を受けるためには、原則として担当医師(整形外科医)の同意が不可欠です。初回の応急手当(捻挫や打撲など)を除き、特に骨折や脱臼の後療法、あるいは長期間にわたる施術を行う場合、医師の明確な同意や指示書がなければ、労働基準監督署から労災給付を否認される恐れがあります。
さらに見落としがちなのが「同日受診の禁止ルール」です。同一の負傷部位について、同日に整形外科と整骨院の両方を受診した場合、労災保険から両方に給付が出ることはありません。医療機関の診療報酬が優先されるため、整骨院での施術費用は全額自己負担(自費扱い)として患者自身に請求される事態に直結します。併用する際は必ず整形外科医に事前に相談し、「月に1〜2回、整形外科で経過観察の診察とレントゲン検査を受けつつ、日常のリハビリとして整骨院に通う」という連携体制を整えることが肝要です。