まず直視しなければならないのは、手首を太くするのは不可能という真相の裏にある解剖学的な構造です。腕時計のバンドが触れるいわゆる「手首の関節部分」の断面を見てみると、橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)という2本の骨、そして指や手首を動かすための「腱(けん)」が大部分を占めています。ここには力こぶ(上腕二頭筋)のように大きく膨らむ筋肉の筋腹(筋肉の中央にある肉厚な部分)が存在しません。
理学療法士としてリハビリ現場で数多くの運動器疾患に携わってきた内藤かいせい氏ら医療従事者の見解でも一致している通り、骨端線が閉じた成人において手首の骨を太くする方法は医学的に存在しません。過度なカルシウム摂取や高負荷の衝撃を与えても、骨密度が高まることはあっても骨の周径が目に見えて太くなることはないのが現実です。
身体測定データなどを参照すると、成人男性の手首の太さ平均はおよそ16cm〜17cm前後、女性の場合は14cm〜15cm前後に収まります。手首周りが15cmを下回る男性の場合、生まれつきの骨格が華奢である可能性が極めて高く、骨そのものを成長させようとする試みは徒労に終わってしまいます。この「変えられない骨格の壁」を正しく認識することが、遠回りを防ぐ第一歩となります。