療養計画書の作成において、最も多くの医療機関が陥りやすい過ちが「固定定型文の全患者使い回し」です。厚生労働省の疑義解釈でも繰り返し示されている通り、療養計画書は患者個々の病態と生活背景に即した治療指針でなければなりません。以下に、主要3疾患における現場基準の具体的な記入例見本を提示します。
【高血圧症の記入例見本】
・主病:高血圧症(家庭血圧 145/92mmHg)
・目標値:診察室 130/80mmHg未満、家庭血圧 125/75mmHg未満
・行動目標:「毎朝起床後1時間以内の血圧測定と記録の徹底」「麺類のスープは半分以上残し、1日の食塩摂取量6g未満を意識する」
・指導・治療内容:Ca拮抗薬の確実な服用。外食時の減塩指導およびカリウムを多く含む野菜類の積極摂取を助言。降圧目標達成のため次回家庭血圧手帳を持参するよう指示。
【糖尿病(2型)の記入例見本】
・主病:2型糖尿病(直近HbA1c 7.6%)
・目標値:HbA1c 7.0%未満、BMI 23.5(現体重68kgからマイナス3kg)
・行動目標:「就寝2時間前の間食(スナック類)を中止する」「週3回、夕食後に20分間のウォーキングを実施」
・指導・治療内容:DPP-4阻害薬の内服確認。炭水化物重ね食べの改善を指示。低血糖症状(冷汗・手指の震え等)の有無を確認し、緊急時のブドウ糖携帯を再指導。
【脂質異常症の記入例見本】
・主病:脂質異常症(高LDLコレステロール血症、LDL-C 162mg/dL)
・目標値:LDL-C 120mg/dL未満、Non-HDL-C 150mg/dL未満
・行動目標:「洋菓子・揚げ物の摂取頻度を週1回以下に抑える」「青魚や海藻類を意識的に週3回以上食事に取り入れる」
・指導・治療内容:スタチン系薬剤の継続。飽和脂肪酸・コレステロールの多い食品リストを配布し、栄養指導を実施。飲酒習慣(ビール500ml/日)の適量化を促す。
記入の肝は、目標値の数値(HbA1cや血圧)だけでなく、「患者が実行可能な具体的アクション」を1項目以上明記することです。これにより、カルテ開示や指導時にも「画一的な診療ではなく個別性のある医学管理が行われている」確固たる証拠となります。