烏山頭ダムが建設された当時、東洋最大規模を誇ったその堤体には、世界でも極めて珍しい「半水力充塡工法(セミ・ハイドロリック・フィル工法)」が採用された。水流を利用して土砂を自然に選別・堆積させるこの高度な手法は、当時の日本の技術水準を遥かに凌駕するものだった。
日本の土木学会をはじめとする専門家集団は、100年近くが経過した現在もなお衰えない同ダムの構造的健全性を極めて高く評価している。1999年に台湾を襲った集集大地震(921大地震)においても、周辺の近代建築が被害を受けるなか、烏山頭ダムはビクともしなかった。未来の気候変動や地殻変動までをも見据えた八田の緻密な設計思想は、現代の土木工学における金字塔として今なお研究対象となっている。