2009年、文学界に再び大きな激震が走る。『ダブル・ファンタジー』による柴田錬三郎賞、中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞のトリプル受賞だ。女性の性の抑圧と解放、自己探求の果てにある孤独と恍惚。ここまで生々しく、かつ美しく人間の本能を描き切った作品が過去にあっただろうか。
一人の女性脚本家が、自らの欲望に向き合い、既存のモラルを破っていく姿。世間の目を恐れず、人間の業(ごう)の深さを描き切る姿勢は、表現者としての凄みそのものだ。三冠獲得は、彼女が日本の恋愛・官能文学の頂点に立ったことを証明する快挙であった。