朱鷺メッセでライブを鑑賞した観客から「視界が壊滅的だった」という不満が噴出する背景には、個人の座高や運の要素を超えた、施設自体の明確な建築設計上の理由が存在します。朱鷺メッセのメインホール(展示ホール・ウェーブマーケット)は、本来は大規模な産業見本市や学会、展示会を開催するために設計された新潟コンベンションセンターの多目的フロアです。
横浜アリーナやぴあアリーナMM、日本ガイシホールといった一般的な音楽用アリーナ会場であれば、1階アリーナ席の後方やすり鉢状の2階・3階スタンド席に明確な「段差(傾斜)」が設けられています。しかし、朱鷺メッセの展示ホールは奥行き約250メートル、幅約45メートルにわたって傾斜が0度の完全なフラットフロアです。常設のスタンド席は1席たりとも存在せず、全席に仮設パイプ椅子を平面的に並べるレイアウトが採用されます。
人間工学および視認性の観点から見ると、ステージ高が一般的な1.5メートル〜1.8メートル程度に設定されていた場合、観客の視線が前の人の頭頂部を越えてステージ面を捉えられるのは、傾斜のない平地では前方の約15〜20列目までが限界とされています。朱鷺メッセキャパ収容人数は約10,000人に達しますが、この規模の観客が一切の段差なしに縦長の空間へ平面的に密集するため、中央から後方のブロックに配置された観客は「人の頭の隙間から、辛うじてモニターの上半分が見えるだけ」という過酷な状況に直面するわけです。
現場取材で得られた参加者の手記や証言でも、「前の席に大柄な男性が立った瞬間、ステージ上の推しの姿が完全に消失した」「終始爪先立ちを強いられ、アンコールが終わる頃には足腰に限界がきた」といった体験談が相次いでいます。これが、ネット上で朱鷺メッセフラット見えにくい理由として語り継がれる物理的な正体です。