縊死とは?読み方や絞死・扼死との違いを法医学と警察発表から徹底解説

縊死とは?読み方や絞死・扼死との違いを法医学と警察発表から徹底解説

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頸部の圧迫によって命を落とす「頸部圧迫性窒息(狭義の窒息死)」には、主に縊死・絞死(こうし)・扼死(やくし)の3種類が存在します。世間一般では混同されがちですが、法医学の世界では明確な物理的・解剖学的差異によって区別されます。

死因の直接的なメカニズムは、単に「息が吸えなくなる(気道閉塞)」だけではありません。頸部には脳へ血液を送る総頸動脈や椎骨動脈、血液を戻す内頸静脈が走っており、これらが塞がれることによる脳虚血(急速な意識障害)が数秒から十数秒で生じます。さらに、頸動脈洞と呼ばれる血圧調整センサーが強い刺激を受けることで急激な徐脈や心停止を引き起こす頸動脈洞反射(迷走神経反射)も、極めて短時間で致命的な状態に陥る大きな要因となります。

項目詳細・数値データ一般的な基準・相場編集部の見解・評価縊死(いし)作用力:自身の体重(自重)
閉塞荷重:頸動脈約3.5〜5kg、椎骨動脈約15〜30kg索条痕が斜め上方(耳後部や後頭部)へ抜ける「開放性」が典型足が床についている状態(不完全縊死)でも数キロの荷重で成立するため、発見時の姿勢だけで事件性を排除しない。絞死(こうし)作用力:他人の腕力や機械力
使用物:ロープ、紐、タオル等索条痕が首を一周するように水平かつ均一深さで残る(閉鎖性)原則として他殺(殺人事件)が疑われる。稀に特殊な事故や器具使用例があるが徹底的な捜査対象となる。扼死(やくし)作用力:人間の手や指、腕
器具:使用しない(素手)首に指圧痕(表皮剥脱や皮下出血)、爪による傷、甲状軟骨の骨折物理的に自らの手で自分を扼死させることは不可能なため、法医学上100%他殺(殺人事件)として扱われる。変死との概念差刑訴法第229条に基づく法的・捜査手続き上の分類「犯罪による死亡の疑いがある死体」全般を指す包括的な総称死因そのものを指す医学用語ではなく、変死事案の調査・解剖結果として「縊死」が確定する関係性にある。

法医解剖医が頸部圧迫死を鑑識する際、最も重視するのが索条痕(さくじょうこん)と呼ばれる首の痕跡です。縊死の場合は紐の結び目(懸垂点)に向かって痕跡が斜め上に持ち上がる傾向が強く、結び目の直下は圧迫が抜けて痕跡が途切れる「開放性索条痕」が多く見られます。一方、絞死では首を水平に締め付けるため、全周にわたって途切れなく均一な深さの溝が刻まれる「閉鎖性索条痕」となります。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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