皮膚疾患に詳しい獣医師の臨床報告によると、足舐めを主訴として来院する症例の約7割で、いわゆる「舐め壊し(自傷性皮膚炎)」の合併が確認されています。犬の舌表面は人間よりもザラザラしており、執拗に舐め続けることで表皮の角質層が削り取られ、皮膚のバリア機能が完全に破壊されてしまいます。
都内の動物医療センターで皮膚科を担当する獣医師は、診察室での過酷な現実を次のように語ります。「最初は指の間のごくわずかな赤みだったものが、犬が舐め続けることで唾液の水分が蒸発せず、皮膚がふやけてマラセチア菌の温床になります。痒いから舐め、舐めるからさらに痒くなるという破滅的な悪循環に陥るのです。重症例では、指の間の皮膚が裂けて膿が吹き出し、激痛から足を地面につけなくなって初めて来院される飼い主様も少なくありません」。
実際に愛犬の足舐めに悩んだ飼い主のコミュニティやSNS上でも、「まさか数日でここまで肉球がただれるとは思わなかった」「絨毯に血がついて初めて出血に気付いた」といった後悔の声が後を絶ちません。肉球や指間は体重を支えるクッションであるため、一度組織が破壊されると歩行困難に直結し、愛犬の生活の質(QOL)は劇的に低下してしまいます。