インターネット上の掲示板やSNS、知恵袋などで時折目にするのが、「100円玉の穴ズレを見つけたがいくらになるか」という書き込みです。しかし、古銭買取の最前線に立つ鑑定士に取材を行うと、即座に苦笑交じりの指摘が返ってきます。
「そもそも、日本の100円玉には歴史上一度も穴が開けられたことはありません。穴が開いているのは50円玉と5円玉です。ネット上で『100円玉の穴ズレ』と騒がれているものの正体は、100%が50円玉との思い違いか、あるいは個人が電動ドリル等で故意に穴を開けただけの違法加工品です」(都内老舗古銭店・主任鑑定士)
貨幣損傷等取締法により、流通硬貨を故意に傷つけたり穴を開けたりする行為は法律で固く禁じられており、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金が科せられます。ネットオークションやフリマアプリで「穴が開いた珍しい100円玉」として出品されているものは、希少なエラーコインではなく、法に抵触する粗悪な変造品に過ぎません。
では、現場のプロが本物と認定する「真の100円玉エラーコイン」とはどのような状態を指すのでしょうか。現場で高額査定される代表的な3大エラーは以下の通りです。
- 刻印ズレ(オフセンターエラー):硬貨の丸いブランク材(金属板)に対してプレス金型が大幅に偏って打ち込まれ、三日月状の余白が生じているもの。ズレ幅が大きいほど価値が跳ね上がり、10万円〜30万円超の値がつく。
- 角度ズレ(ダイ・ローテーション・エラー):コインを表から裏へクルリと垂直に返した際、図柄の軸が正常な上下関係から45度〜180度近く傾いているもの。30度以上の顕著なズレで数万円以上の査定。
- 裏表同一刻印(両面同一打ち):極めて稀なケースとして、金型のセッティングミスによって表と裏に同一の「桜」や「100」の刻印が施されてしまった幻のエラー。過去の公開オークションでは数十万円以上の伝説的な落札額を記録。
これらの正規エラーコインは、造幣局の自動光学選別機を奇跡的に通り抜けた工芸的アクシデントの産物です。万が一、手元の硬貨の模様が明らかに偏っていたり、裏表の向きが揃っていなかったりする場合は、絶対に傷つけず保護ケースに入れて保管すべきです。