ネットで覆っているにもかかわらず虫が発生した場合、多くの人は「ネットをすり抜けたのではないか」と疑います。しかし、農業改良普及センターの技術資料や栽培現場の観察データを分析すると、ネットの網目を破って侵入されるケースよりも、設営段階や管理手順における初歩的な見落としが原因の大半を占めている実態が浮き彫りになります。
現場で多発している代表的な失敗原因は以下の5点に集約されます。
第一に、「土壌中にすでに害虫の卵や幼虫が潜んでいた」ケースです。特に前作でアブラムシやヨトウムシ、キスジノミハムシが発生していた土をそのまま再利用した場合、土壌中に残された卵やサナギがネット内部で孵化します。外からの侵入を遮断した密閉空間は、天敵となるテントウムシやクモが存在しないため、孵化した害虫にとってまさに天国のような増殖環境と化してしまいます。
第二に、「ネットの目合い(網目の細かさ)が防ぎたい害虫と合っていない」点です。市販の防虫ネットで最も流通している「1mm目合い」は、モンシロチョウ(アオムシの親)やタマナギンウワバ、コナガの成虫などの大型害虫を防ぐには効果的ですが、体長1mm前後のアブラムシや、さらに微細なアザミウマ(スリップス)は容易に網目をすり抜けます。
第三に、「野菜の葉がネットの内側に接触している」ことです。ネット際まで葉が育つと、外部にとまったチョウやガがネットの上から直接卵を産み付けます。孵化した微小な幼虫は難なくネットの網目を通り抜けて葉に到達するため、「ネットを破られていないのに葉の内側に青虫がいる」という怪奇現象が引き起こされます。
第四に、「裾(すそ)の固定が甘く、地面との間に隙間が生じている」点です。風にあおられて裾が数センチめくれ上がるだけで、飛来した害虫や地面を這う甲虫類は即座に入り込みます。特に畑の畝(うね)の凸凹や、プランター底部のスリット穴は見逃されがちな侵入経路です。
第五に、「日々の水やりや間引き作業の際の開閉」です。作業のためにネットを大きくめくった瞬間、周囲の雑草や上空を旋回していた害虫が一瞬の隙を突いて飛び込みます。内部に入り込んだ1匹のメスを見逃したまま閉じてしまえば、数日後には大繁殖を引き起こすことになります。