海に面した長崎港の一等地にありながら、長崎水辺の森公園の護岸一帯は「全面釣り禁止」に指定されています。釣り愛好家の間では「これほど潮通しが良く魚影が濃い場所で、なぜ釣りができないのか」と疑問の声が上がることも少なくありません。しかし、この禁止措置には港湾管理および都市公園の運用上、極めて明確な合理的理由が存在します。
関係機関の管理指針や現場実態を検証すると、最大の理由は「歩行者および水遊び客との接触事故防止」にあります。同園は水際まで手すりのない親水護岸が連続しており、市民や観光客が足元近くまで海に近づける構造が特徴です。ここで釣り竿を振るキャスティング動作を行えば、後方を歩く観光客や走り回る子供に釣り針が刺さる重大事故のリスクが跳ね上がります。
さらに、撒き餌(コマセ)や釣り針・釣り糸の放置による水質悪化と悪臭の発生は、景観美を根幹から損ないます。特に同園の水路は海水を循環させて親水空間を形成しているため、油分やエサカスによる汚染は直接的に水遊びの安全性を脅かします。自由な釣り空間として開放するのではなく、「誰もが危険なく水辺に触れ合えるパブリックスペース」としての公共性を最優先した結果が、現在の釣り禁止ルールというわけです。