同じ「えり」という読みを持ちながら、なぜ2つの異なる漢字が生まれたのでしょうか。その理由は、それぞれの漢字の旁(つくり)が持つ原義にあります。
「襟」は、衣服を表す「衤(ころもへん)」に「禁(とめる、ふさぐ、おさえる)」を組み合わせた形声文字です。胸元がはだけて乱れるのを防ぎ、衣服をしっかりと留めて整える部分を指す意味から成り立ちました。身だしなみを引き締めるという道徳的なニュアンスとも深く結びついています。
対して「衿」は、「衤(ころもへん)」に「今(ふくむ、合わせる、覆う)」を組み合わせた漢字です。左右の布地を胸の前で重ね合わせ、首から胸元を優しく包み込む構造を表しています。古代中国において着物の前合わせのような形状を指したことから、後の日本でも着物や和装の構造を表現する文字として定着していきました。