かつてジャーナリストのエリック・シュローサーが著書『ファストフード・ネイション』で描いた衝撃的な構図は、時代を経た今もなお進化を続けている。巨大なファストフード業界は、単に空腹を満たす食品を提供しているのではない。いかに消費者の脳を「病みつき」にするかという化学的・心理学的マーケティングに巨額の資金を投じてきた。
香料会社と連携したフレーバーエンジニアリング、咀嚼回数を意図的に減らす加工技術、さらには幼少期からのブランド刷り込みに至るまで、あらゆる戦略が緻密に設計されている。外食産業の巨大企業が追求するのは、コスト削減と再現性の高い「至福ポイント(Bliss Point)」の創出だ。消費者が気付かないうちに、選択の自由は巧妙に誘導されている。