これほどの実力と実績を持ちながら、なぜオリンピックの金メダルだけには手が届かなかったのか。その背景には、当時のフィギュアスケート採点システムの変遷と、稀代のライバルであるキム・ヨナ選手とのライバル関係が存在します。
2010年のバンクーバー五輪において、浅田真央さんは女子シングル史上初となる「ショートプログラムで1回、フリースケーティングで2回」の計3本のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させ、ギネス世界記録に認定されました。しかし、結果はキム・ヨナ選手が世界最高得点を更新しての金メダル、浅田さんは銀メダルに留まりました。
勝敗を分けた大きな要因は、採点システムにおける「技の難易度(基礎点)」と「出来栄え点(GOE)」の評価バランスでした。リスクを冒して超高難度ジャンプに挑む構成をとった浅田さんに対し、キム・ヨナ選手は加点を最大限に引き出す完成度の高い演技構成で驚異的なスコアを叩き出したのです。当時、この結果や採点のあり方をめぐっては日韓のみならず欧米メディアでも議論が巻き起こり、海外の専門家からも「難度の高い挑戦に対する評価のあり方」について様々な意見が飛び交いました。