かつてネット上や一部の夕刊紙、週刊誌を席巻した二人の交際説。その根拠とされたのは、驚くほど限定的な出来事の積み重ねだった。一致するアクセサリーの着用、同じ場所での滞在を示唆する投稿、そして管理栄養士の存在——。一見すると意味ありげに見えるそれらの要素は、現代のデジタル情報空間において格好の「匂わせコンテンツ」として消費されていった。
しかし、当時の芸能メディアが報じた相次ぐ噂に対して、当事者たちが沈黙を保ち続けたことが、結果として憶測の連鎖を増幅させる結果となった。沈黙は肯定でも否定でもなく、単に過剰なプライベート報道に対する賢明な距離感の表れであったが、アクセス数を追求するネットメディアの構造が、存在しない物語を実体化させてしまったのだ。真相は、単なるファンの観察眼が生み出した偶発的な共通項と、それを煽る報道が生み出した幻想に過ぎなかった。