初めての購入時に最も頭を悩ませるのが、フロントシート(前)にするかリアシート(後ろ)にするかという選択です。この2者には、単なる乗降位置の違いにとどまらない、構造力学と実用上の大きな隔たりがあります。
前乗せと後ろ乗せの決定的な違いは、「走行時の重心バランス」と「使用可能年数の長さ」にあります。前乗せは、子供が常に視界に入るため、急な体調変化や機嫌の悪化にすぐ気付ける精神的な安心感があります。しかし、ハンドル回転軸の周辺に10〜15kgの重量物が載るため、ハンドルが取られやすく、漕ぎ出し時にふらつきやすい構造的デメリットを抱えます。また、運転者の胸元にシートが位置するため、ペダルを漕ぐ足がシートの底面に当たらないよう、ややガニ股気味の姿勢を強いられるケースも少なくありません。
対する後ろ乗せは、車体の後輪車軸の上に重心が収まるため、直進安定性に優れ、ハンドル操作が極めて軽快です。さらに就学前(約6歳・22〜24kg)まで長く使用できるため、コストパフォーマンスの面で圧倒的な優位性を持っています。ただし、走行中は子供の様子が直接見えず、走行中に子供が寝てしまって首が不自然に傾く「頭部カックン現象」が起きやすい点や、後方への手荷物積載スペースが圧迫される点への配慮が欠かせません。
自転車用チャイルドシートの選び方における指針としては、子供が1歳になったばかりで体幹が柔らかく、親の目が届かないと不安な時期は前乗せシート、すでに2歳を超えており体重が12kg近くある場合は、初めから後ろ乗せシートを選択するのが王道です。