天然の山フキは、栽培種に比べてアク(主にピロリジジンアルカリド類やポリフェノール)が格段に強く、適切な下処理を怠ると喉を刺すような強いエグ味が残ってしまいます。ここで活躍するのが、昔から台所の知恵として受け継がれてきた重曹の活用です。
確実な山フキあく抜きを成功させるための標準的な手順は以下の通りです。
まずは鍋に入る長さ(およそ5〜7cm)に揃えて切りそろえ、まな板の上に並べて塩(フキの重量の約2〜3%)を振り、手のひらで前後に転がす「板ずり」を行います。この工程により表面の細かな毛が取れ、表皮の細胞組織が適度に傷ついてアクが抜けやすくなります。
次に、たっぷりの湯を沸騰させ、フキ1kgに対して小さじ1杯程度の食用の重曹を加えます。これが山フキ下処理重曹の裏技であり、弱アルカリ性の湯で茹でることで繊維を適度に軟化させ、細胞内に閉じ込められたアクを短時間で湯中に溶出させる効果があります。茹で時間はフキの太さに応じて約2分から3分。箸で持ち上げたときに「わずかにしなる」程度が引き上げの合図です。茹ですぎると後工程の煮込みで確実に形が崩れるため、タイマーをセットして厳密に管理してください。
茹で上がったら間髪入れずに氷水、または流水に取ります。一気に急冷することで熱の進行を止め、余計なアクを水へと放散させます。その後、水を2〜3回替えながら3時間から半日ほど水に浸けておきます。途中で一切れ口に含んで味見をし、爽やかな苦味の奥に嫌な渋みが残っていなければ、下処理は完璧に完了です。