止まっていた無一郎の時間は、刀鍛冶の里で炭治郎の「人のためにすることは巡り巡って自分のためになる」という言葉に触れた瞬間、劇的に動き出します。それはかつて亡き父が口にし、兄と衝突した言葉そのものでした。
上弦の伍・玉壺が繰り出した「水獄鉢」に閉じ込められ、呼吸を封じられて窒息死寸前に陥った無一郎。彼を救ったのは、自らの命を顧みずに空気を吹き込んだ刀鍛冶の少年・小鉄でした。他者の無私の行動に触れたことで記憶の封印が解かれ、無一郎の頬には赤い霧のような「痣」が発現します。
記憶を取り戻した無一郎は、先代の刀鍛冶・鉄井戸の遺志を継いだ鉄穴森鋼蔵から受け取った新たな日輪刀を手に、上弦の伍・玉壺を圧倒します。無一郎の日輪刀は、霞を想起させる美しい「白銀色」に染まり、鍔は幾重にも重なる「長方形(金の四重長方形)」の精緻な意匠が施されています。
霞の呼吸(かすみのこきゅう)技一覧
風の呼吸から派生した「霞の呼吸」は、緩急ある足運びと衣服のたわみを利用し、敵の目測や間合いを狂わせる攪乱殺法を真骨頂とします。
- 壱ノ型 垂天遠霞(すいてんとおがすみ):天に向かって垂直に刀を突き出す直線的な高速刺突技。
- 弐ノ型 八重霞(やえがすみ):幾重にも重なる斬撃を連続で繰り出す範囲攻撃。
- 参ノ型 霞散の飛沫(かさんのしぶき):素早い円運動の斬撃によって敵の投擲物や攻撃を吹き飛ばす防御技。
- 肆ノ型 移流斬り(いりゅうぎり):流れるような足運びとともにすれ違いざまに敵を切り裂く流麗な技。
- 伍ノ型 霞雲の海(かうんのうみ):目にも留まらぬ超高速の連撃で対象を細切れに刻む広範囲斬撃。
- 陸ノ型 朧月夜(おぼろづきよ):広範囲にわたって跳躍・身を翻しながら敵を包み込むように斬り落とす立体機動技。
- 漆ノ型 朧(おぼろ):時透無一郎自身が独自に編み出したオリジナルの技。動きを見せる際は亀のように緩慢に、姿を消す際は瞬きのように神速で動くことで、敵には「霞に巻かれた」ように映る幻惑の歩法。上弦の伍・玉壺の動体視力を完全に欺き、首を刎ね落としました。