時代の流れと言ってしまえば簡単だ。多くの地方都市が直面する「後継者問題」。この店も例外ではなかった。70代後半を迎えた店主の体力の限界、そして重なる原材料費の高騰。しかし、奇跡は一本のショート動画から始まった。地元の若者が投稿した、湯気立ち上るラーメンと店主の笑顔の動画がTikTokで瞬く間に拡散。それを見た都市部の若者たちが、週末になるとこぞってこの地を訪れるようになったのだ。
「まさかこんな古い店に、東京や大阪から若い子が来てくれるなんて夢にも思わなかった」と、店主は目尻を下げる。スマートフォンの画面越しに映る「エモい」光景が、消えかけていた炭火に再び風を送った瞬間だった。