フロアを揺らす重厚なファンクビートに乗せて突如として響き渡る「ヤットサー」「ア、ヤットヤット」という威勢のいい掛け声。初聴時には誰もがその異色すぎる組み合わせに度肝を抜かれます。この独創的なフックのルーツこそ、徳島県が世界に誇る伝統芸能「阿波踊り」のお囃子(よしこの)に他なりません。
作詞・作曲を手掛けたBro.KORNは、かつて音楽番組の特番インタビューや自著において、制作当時の衝撃的な閃きを述懐しています。当時、アメリカのストリートを席巻していたボビー・ブラウンやガイ(Guy)に代表される「ニュー・ジャック・スウィング」の跳ねる16ビートに没頭していたBro.KORNは、日本の民謡やお祭りのリズムを研究する中で、ある決定的な事実に辿り着きました。「阿波踊りの2拍子の裏ノリと、ブラックミュージックのスウィング感は完全に同じグルーヴ(ウネリ)を持っている」という確信です。
阿波踊りの代表的なフレーズ「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」に通底するアナーキーな祝祭精神は、ソウルやファンクが持つ解放のエネルギーと見事に共鳴しました。単なる異文化のパロディではなく、日本の土着のリズムとストリートファンクを構造レベルで融合させたからこそ、この曲は時代を問わず人々の身体を無条件で揺らし続けています。
また、タイトルのWON'T BE LONG 英語の意味を紐解くと、「It won't be long」の口語省略形であり、「もうすぐだ」「間もなく夜が明ける」「待たせはしない」というニュアンスを含みます。歌詞中では、待ち合わせの焦燥感や恋焦がれる心情を描きつつも、「夜明けはもうすぐそこに来ている」という圧倒的なポジティビティが込められており、阿波踊りの狂熱的な生命力と見事にリンクしています。