在庫管理ツールの選定において陥りがちな罠が、「今までエクセルでやってきたから」「作り込んだシートを捨てるのがもったいない」というサンクコスト効果(埋没費用への執着)です。組織心理学の観点からも、業務が特定の個人に依存した状態が長く続くと、業務プロセスの不備を個人の注意力不足のせいにする「認知の歪み」が生じやすくなります。
感情論を排し、自社がどちらの選択肢をとるべきか判断するための明確な基準は以下の通りです。
エクセル運用を継続して問題ない現場
- 管理対象のSKU(品目数)が100点未満にとどまっている
- 入出庫の作業担当者が1〜2名で、拠点が1箇所のみである
- BtoBの受注生産などで、入出庫の頻度が週に数回程度と極めて緩やかである
- 社内にエクセルの関数やテーブル設定に精通した管理者が常駐している
今すぐクラウドシステムへの移行を検討すべき組織
- 取り扱い商品数が300点以上に達し、頻繁に新商品の追加・廃止がある
- 倉庫・店舗・ECサイトなど、複数拠点で在庫を共有・移動させている
- パートやアルバイトなど、複数名が入れ替わりで入出庫処理を行う
- 月次棚卸を行うたびに原因不明の在庫差異が発生し、調査に毎月数時間以上費やしている