彼女のキャリアにおいて決定的な転換点となったのが、NHKの連続テレビ小説『ブギウギ』のヒロイン・福来スズ子役だ。戦前戦後の激動期を歌と踊りで駆け抜けた国民的スターを演じきり、劇中で見せたエネルギッシュなパフォーマンスはお茶の間を熱狂させた。単なる歌唱力の高さにとどまらず、生きる喜びと哀愁を同時に体現したその表現力は、日本のテレビドラマの歴史に鮮烈な爪痕を残した。
その後、主演を務めたドラマ『モンスター』では一転、感情を読ませないクールで異色の弁護士を好演。朝ドラで見せた泥臭い人間味とは対極にある、冷徹さと知性を併せ持つキャラクターを見事に演じ分けた。役柄ごとに自らのパブリックイメージを軽やかに脱ぎ捨てるその変幻自在ぶりは、表現者としての底知れないキャパシティを証明している。