通夜や告別式の現場を取材する中で、葬儀ディレクターや受付担当者から頻繁に聞かれるのが「受付の列の先頭になってから慌ててバッグを漁り、袱紗から香典を出すのに手こずる参列者」の姿です。また、大手ポータルサイトの知恵袋やSNS上でも、「袱紗ごと相手に手渡してしまった」「開口部を逆にして水引を引っ掛けて破損させた」という失敗談が散見されます。
式場に到着したら、香典受付での渡し方マナーを落ち着いて実践できるよう、導線を事前にシミュレーションしておくことが重要です。受付台に向かう直前にバッグから袱紗を取り出しておき、自分の番が来たら速やかに以下の手順へ移行します。
受付の係員に軽く一礼した後、袱紗を胸の高さで両手で持ちます。風呂敷型や爪付き型の場合はその場で手早く開き、香典袋を取り出します。金封ふくさの場合も同様にスリットから丁寧に抜き取ります。この段階で最も重要なのは、袱紗から出した香典袋を受付係員から見て正面になるよう、時計回りに180度回転させて向きを変えることです。
向きを正したら、空になった袱紗を小さく畳み、その畳んだ袱紗の上に香典袋を重ねて両手で差し出します。台付き袱紗の場合は、台に乗せたまま相手に向けて差し出します。この際、何も言わずに差し出すのではなく、「この度はご愁傷様でございます」「ご霊前にお納めください」といった簡潔なお悔やみの言葉を一言添えて手渡すのが、大人の品格ある振る舞いです。係員が一礼して受け取ったのを確認し、自身も深く一礼して芳名帳の記帳へと移ります。
なお、お通夜と葬儀の香典作法詳細まとめとして留意すべき点として、通夜と葬儀・告別式の両方に参列する場合、香典をお渡しするのは「どちらか一方のみ」です。通夜で香典をすでにお渡ししている場合、翌日の葬儀受付では「香典は昨夜お納めいたしました」と申し述べて記帳のみを行ってください。両日とも渡してしまうと「不幸が重なる」と解釈される忌み事になるため注意が必要です。